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官・民の距離 どこまで縮まるか
文部科学省が実施する「フリースクール等に関する検討会議」の第5回目が、19日(木)、4月14日以来、約7か月ぶりに再開されました。
再開が延期されたことについて、一部では超党派議員連盟が進めるフリースクールや夜間中学に関する新法案の動き見据えたためとされていましたが、この日、事務局からの具体的な説明はありませんでした。しかし、法案については一部委員から「今後、会議でどのように扱っていくのか?」との質問が挙がり、事務局は「国会と文科省の動きは別であり、本会議では子どもへの学習支援や連携について検討して頂きたい」と、あくまで国会の動きとは分けて考える姿勢を強調しました。
この日の会議では、文部科学省が8月に公表したフリースクール等の実態調査についての説明もなされました。在籍校から出席扱いを受けている児童生徒の割合が5割強に留まった結果に対して、委員からは「出席扱いが校長の裁量で決められているのは、公平性が保たれていないことになる。認定に関わる基準など、具体的な制度設計を提案していかなければ」などの指摘がされました。
また、並行して進められている「不登校に関する調査研究協力者会議」が公表した中間報告についても触れられました。事務局は報告について「基本的には学校での教育を前提」としていることを強調。その中で報告書は、「特別な事情」がある場合には例外的に「多様な教育環境の提供」を検討するとしていますが、「特別な事情」やフリースクールの位置付けが曖昧になっています。委員からの指摘に対して、事務局は「解釈は自由」との見解を示し、フリースクールを「多様な教育」とするかどうかは、校長など各現場の判断に委ねられるとしました。
この検討会議は今年1月から始まり、これまで各団体の事例発表を踏まえながらフリースクールの制度的位置付けや各施設が行う多様性の保障などが話し合われてきました。そのうえで、事務局は今後、子供たちへの学習支援の在り方を中心に、特にフリースクール等と学校・教育委員会の連携について検討していくとしています。この日も主に官民の連携について議論され、フリースクールを運営する委員からは、自治体からの運営補助や公設民営の取組み、民間団体と市教委による協議会の実施などが報告されました。これに対し、行政側の立場にある委員からは「当初の会議では、学校や教育委員会に対する批判的な意見も出され、切ない想いもあったが、具体的な連携の事例が聞けて良かった」など、取組みを評価する声も複数挙がりました。今後は、フリースクールと行政がどのように距離を縮めていけるかが争点となりそうです。
検討会議は今後、来年春を目途に審議経過を報告。その後、再度議論を進め、平成28年度中に最終まとめを行うとしています。
「フリースクール等に関する検討会議」
昨年7月の教育再生実行会議第五次提言を受け「フリースクール等で学ぶ子供たちの現状を踏まえ、学校外での学習の制度上の位置付けや、子供たちへの支援策の在り方について検討を行う」とし、同年11月には文部科学省として初となる「全国フリースクール等フォーラム」を開催。以後、今年1月から5回にわたり実施されている有識者会議。
◎検討委員は以下の通り(五十音順 敬称略)
生田義久(前京都市教育委員会教育長)、植山起佐子(CPCOM 臨床心理士コラボオフィス目黒 臨床心理士)、奥地圭子(NPO法人東京シューレ理事長 NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事)、加治佐哲也(兵庫教育大学学長)、金井剛(横浜市こども青少年局児童相談所統括担当部長 中央児童相談所長 児童精神科医)、菊地敬一郎(仙台市適応指導センター「児遊の杜」所長)、品川裕香(教育ジャーナリスト)、白井智子(NPO法人トイボックス代表理事 スマイルファクトリー校長)、永井順國(政策研究大学院大学客員教授)、友野晃(福岡県教育庁理事)、西野博之(NPO法人フリースペースたまりば理事長 川崎市子ども夢パーク所長 フリースペースえん代表)、宮澤和徳(長野県辰野町教育委員会教育長)、武藤啓司(NPO法人楠の木学園理事長)、横井葉子(上智大学総合人間科学部社会福祉学科助教 スクールソーシャルワーカー)
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