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「夜間中学」の拡充と法成立を目指す集会
中学を卒業していない人や外国人などが通う「夜間中学校」の全国的な拡充と義務教育未修了者のための法成立を目指す「国会院内の集い」が、6月4日(木)、衆議院第二議員会館で行われました。
戦争や貧困、差別、不登校など様々な理由で義務教育を受けられなかった人は全国に100万人以上いるとされます。5月9日に文科省が初めてまとめた実態調査では、公立の夜間中学(中学校の夜間学級)を設置する地域は8都道府県25市区で、学校数は全国で31校、学んでいる生徒は1849名に留まり、利用機会の不足が浮き彫りになりました。また、夜間中学がない地域は、市民ボランティアなどが有志でつくる「自主夜間中学」などが補っており、現在154市区町村で約7400人が学んでいます。
馳浩(はせ ひろし)衆議院議員
こうした実態を受け、5月27日には、馳浩衆議院議員を座長とする「超党派フリースクール等議員連盟」との合同で「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」の立法チームも発足されています。この日の集いは、議員連盟と「全国夜間中学校研究会」との共催で開かれ、研究会側からは法成立に向けた要請文も提出されました。
要請文では、年齢や国籍に関係なく学習の権利が保障されることや、財政的支援、また、就学者の中には小学校未修了者も含まれていることから、その実態把握と生徒に見合った弾力的な対応が求められています。また、これまで不登校でも在籍学校の校長裁量で出席を認められてきた、「形式的な卒業」者に対しても、「学び直し等によって実質的な義務教育を受けられるようにする」ことも明記されています。
夜間中学については、これまで対象者への認知不足や越境通学、遠方通学などが課題となっていました。また、有志でつくられる自主夜間中学は財政的な支援がなく、法的な卒業資格が得られないことや生徒の無保険状態なども課題となっています。また、近年は外国人就労者の増加で、生徒全体の8割を外国人が占めているのが実態。そのため日本語学習への対応も早急な課題です。
現在、公立の夜間中学が設置されていない埼玉県では、この30年で延べ1000人を超える生徒が東京の夜間中学へ通ったとのこと。また、広大な土地が課題要因となる北海道は、現在、4ヵ所(札幌、旭川、釧路、函館)で自主夜間中学が運営されていますが、かつては遠方からの通学により、帰宅が朝6時になる生徒もいたと言います。
文部科学省は、今後全都道府県に1校以上の夜間中学設置を促進していく方針。馳議員は「義務教育の学校設置者は本来市区町村だが、負担が大きく現実的に難しい部分がある。それらを踏まえて、現在、文部科学省や法制局とどのようなスキームが良いかを詰めている段階」と話しました。
超党派の議員連盟は、フリースクールなども含めた学校以外の教育の場を義務教育制度に位置付ける「多様な教育機会確保法」案を、7月中の国会で提出し、今国会での成立を目指しています。また、それに向け6月16日(火)には衆議院第一議員会館で「フリースクール等院内集会」も開かれます。